令和6年7月2日に、LPガスの商慣行を是正するための新たな規律として、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」が施行されました。 横浜市・川崎市内でも現状でLPガス(プロパンガス)を利用している建物は多数ありますが、LPガスでは古くから料金形態に明確なルールがなかったため、ときとして価格設定などが問題化するケースもありました。
今回の主な改正内容は「過大な営業行為の制限」「三部料金制の徹底」「LPガス料金等の情報提供」の3つで概要は以下のとおりとなります。
①過大な営業行為の制限 LPガス事業者が、不動産・建設関係者等に対し、設備貸与や紹介料などの形で過大な利益供与を行うなどの営業行為を抑止するため、下記が禁止されます。 1.正常な商慣行を超えた利益供与 2.制限するような条件付き契約締結等
②三部料金制の徹底 消費者に不透明なかたちで、LPガスとは関係ない費用等がLPガス料金として上乗せ回収されている現状を是正するため、下記の措置が講じられます。 1.基本料金、従量料金、設備料金からなる三部料金制(設備費用の外出し表示)の徹底 2.電気エアコンやインターホン、Wi-Fi機器等、LPガス消費と関係のない設備費用のLPガス料金への計上禁止 3.賃貸住宅向けLPガス料金においては、ガス器具等の消費設備費用についても計上禁止
③LPガス料金等の情報提供 賃貸集合住宅の場合、入居後は事実上LPガス事業者を変更できないといった実態を踏まえ、入居前にLPガス料金等の情報を入手できるよう、下記の措置が講じられます。
1.入居希望者へのLPガス料金の事前提示の努力義務(入居希望者に直接又はオーナー、不動産管理会社、不動産仲介業者等を通じて提示)
2.入居希望者からLPガス事業者に対して直接情報提供の要請があった場合は、それに応じることを義務付け
LPガス業者には昔から続いている商慣行があり、これにより消費者が不利益を被っているケースが見受けられます。LPガス事業者はガス供給契約を獲得するために、給湯器やガスコンロ等の住宅設備機器に要する費用を自社で負担し、賃貸住宅のオーナーに無償貸与する手法を取ることがあります。 しかし実際のところそれらの費用は、入居者からのガス料金に上乗せする形で回収されることとなります。入居者はそのようなガス料金の内訳の詳細を事前に知ることなく入居し、ガス料金が想定より高いことに後から不満を持ったとしてもガス会社を変更することは事実上できないという事態に陥ります。このような事態を踏まえ今回の省令改正が行われるに至りました。
今後、今回の改正をうけ入居者にとってはガス料金の透明性が高まり負担が減ることが予想されますが、賃貸物件オーナーにとっては、諸設備の費用負担が増える可能性があり、賃料との兼ね合いについても慎重に対処していくことが必要となることが想定されます。
我々不動産業者としても、今回の改正の主旨を十分理解したうえでLPガス料金の健全化に向けて入居者様に対する十分な説明とオーナー様への制度改正の主旨についてのご説明を徹底していくことが必要となってきます。
株式会社横浜ランディック
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